アルバム

中島みゆき『わたしの子供になりなさい』の全曲解説&みんなの感想

わたしの子供

1998年3月18日に発売された25作目のアルバム
『わたしの子供になりなさい』
の全曲解説&みんなの感想をみていこう。

『わたしの子供になりなさい』の特徴

 

アルバム『わたしの子供になりなさい』(レコチョク)

「自分さがし」がコンセプトのこのアルバムは、ドラマや映画の主題歌や社会的批判を織り交ぜた歌、提供曲のセルフカバーなど、曲調から歌詞の内容まで表情豊かな仕上がりになっている。

1998年4月1日付の北海道新聞夕刊でのインタビューでは、アルバムタイトルにちなんで、

「作品は、手を離れた時点で嫁に出した子供みたいなもの。
 どんな子を産むのか分からない」

と発言している。

10年ぶりにLPが販売された。

ファンクラブの会報によると、

「12cm四方のCDジャケットでは表現しきれないビジュアル・コンセプトと、多くのアナログ・ファンの方の要望を詰め込んでの企画となりました」

とのこと。

アルバム『わたしの子供になりなさい』のみんなの感想

曲解説

『わたしの子供になりなさい』

『わたしの子供になりなさい』(レコチョク)

アルバムと同名タイトルの曲。

傷ついた人の心を癒すゆったり系のサウンドは瀬尾一三David Campbellによるもの。

どこか『この空を飛べたら』的な雰囲気を纏っていて、加藤登紀子が歌ってもしっくりくるような印象を受ける。

歌詞解釈

恋に疲弊してしまった人にどう対応すべきか?

難しいところだが、

「あなたが泣くときは わたしは空を見よう
 あなたが泣きやめば ふたりで空を見よう」

と寄り添ってあげるのがこの曲のスタンス。

中島みゆきの応援歌には「がんばろうぜ」といった上から引き揚げるようなコトバはない。

あの『ファイト!』ですら、よく聴けば、闘う人間と同じ側に立っている。

視線が同じ方向に向いているという点で、この曲は実に中島みゆきらしい。

これまで多くのコトバで我々を勇気づけてきた彼女だが、

「もう愛だとか恋だとかむずかしく言わないで
 わたしの子供になりなさい」

とコトバを捨てた究極のアプローチ法をとっている。

夕空
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ファイト
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『下町の上、山の手の下』

『下町の上、山の手の下』(レコチョク)

コンサートで盛り上がりそうな景気のいいナンバー。

歌詞解釈

「下町」は江東区の深川や葛飾区あたりの庶民が住んでそうな街、そして、「山の手」は世田谷区や杉並区の金持ちが住んでそうな街。

下町に暮らす「彼女」と山の手の「あいつ」の恋模様が第三者の視点で描かれている。

この第三者は、「彼女」に片想いしているらしく、

「いちいち気に障るしたたかな組み合わせ」

と端々に2人のノロケへのジェラシーが表れている。

下町と山の手では住む世界が違うが、片や下町の上玉という設定の「彼女」、片や山の手では落ちこぼれの「あいつ」

実はお互い近い存在だったりする。

下町から山の手へは、電車が通わないところであるが、そこを歩いて互いに会っている「彼女」「あいつ」の愛の強さには、ほぼ完敗状態。

だが、それでも下町と山の手、交差しない2人だと思いたい気持ちが、

「もう一度油断をさせてくれ」

という歌詞に滲んでいる。

『命の別名』

『命の別名』(レコチョク)

1998年に放送されたいしだ壱成主演のドラマ『聖者の行進』の主題歌。

このドラマのために中島みゆきが書き下ろした曲で、知的障碍者を扱ったドラマの趣旨を汲んだ歌詞になっている。

こちらはアルバムバージョンで伴奏・歌唱ともに、シングルよりも激しいタッチだ。

歌詞解釈

弱い存在に光をあて、

「命に付く名前を”心”と呼ぶ
 名もなき君にも 名もなき僕にも」

と歌っている。

「くり返す哀しみを照らす 灯をかざせ」

という歌詞は、ドラマの中の虐待を意識した歌詞だと思うが、ドラマから切り離して聴けば、広い解釈ができる。

石や樹や水に、

「僕と生きてくれ」

と呼びかける様子は、中島みゆきならではの切り口だ。

命
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『清流』

『清流』(レコチョク)

フェイ・ウォンに提供した曲。

フェイ・ウォンの方は『人間』というタイトルで林夕という中国人が作詞を手掛けているが、それを中島みゆきが新たに歌詞を書き替え、それに伴いタイトルも変えた格好。

歌詞解釈

敵対心を持つ男とそれを優しく諭そうとする女を描いた歌。

上手くいかない関係を流れに喩えて、

「流れよ清き流れよ はじめの滴を忘れても
 流れよどちらからともなくまじわり合って流れてゆけ」

と願いを託している。

清流
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『私たちは春の中で』

『私たちは春の中で』(レコチョク)

的場浩司主演の映画『大いなる完(ぼんの)』の主題歌。

後に、シングル『瞬きもせず』のカップリング曲としてシングルカットされている。

歌詞解釈

タイトルに「春」が含まれているものの、のどかな要素は一切ない。

「春」というコトバは何かの象徴で用いられているようだ。

「私たち」の孤独や焦りみたいなものを「春」と対比的に描いている。

『愛情物語』

『愛情物語』(レコチョク)

1997~1998年に放送されたテレビ朝日系ドラマ『はみだし刑事情熱系』シーズン2の主題歌。

シーズン1主題歌『たかが愛』に引き続き、シーズン2も中島みゆきが手掛けている。

アップテンポで独特の歌唱でまた新境地を開拓していった。

歌詞解釈

世間一般で言われるところの傍で尽くすという「愛情」とは真逆のカタチの「愛情」を提示している。

歌詞に現れる「他人になる」「裏切り」「離れる」というコトバは時と場合によっては愛情の裏返しなのだ。

この曲のように。

愛
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『You don’t know』

『You don’t know』(レコチョク)

「泣きなさ~い笑いなさ~い」の『花』でお馴染みの石嶺聡子に提供された曲。

片想いソングは中島みゆきのお家芸。

彼女の右に出る者はいないと思わせてくれる曲だ。

編曲は瀬尾一三David Campbell

歌詞解釈

友達という関係すら崩したくなくて本音を悟られないように振る舞う女性が描かれている。

「期待なんかしないことと固く誓ったのに心乱れて」

と、ブレーキをかけつつも意に反して揺れ動く女心。

タイトルの「You don’t know」は、「あなたは知らない」という意味。

そう、どんなに視線を送り続けても自分の思いには気付かないだろうという切ない思いだ。

「見つめてみてもあなたは気づきもしない
 窓辺の鳥より値打ちがない」

恋をすれば誰もが経験するだろう臆病な気持ちをリアルに歌にしている。

『木曜の夜』

『木曜の夜』(レコチョク)

こちらもラブソング。

中島みゆきの恋歌の中では比較的軽快なサウンドで爽やかな夜の印象を受ける。

「自分探し」というコンセプトなだけに中島みゆきの新たな顔を見ることができる一曲。

歌詞解釈

「木曜の夜11時半」

という具体的な時間設定がストーリーにリアリティを持たせている。

登場する「私」は急いでいる様子。

「もしかしたら私をみつけてくれるかもしれないから」

「あなた」を追って人混みの街に出てきたはいいが、会える奇跡なんてそう起きるものではない。

「こんなにこんなに人はいるのに
 どこにもどこにもあなたはいない」

と、街を行き交う人々と「あなた」を対比して描き、想いの強さを表現しているとこなんか、もう見事。

『紅灯の海』

『紅灯の海』(レコチョク)

俳優の竹中直人に提供された曲。

渋い演歌にも取れるような曲調は歌詞の世界観を引き立てるのに役立っている。

歌詞解釈

「紅灯」というコトバは「赤ちょうちん」を意味している。

赤ちょうちんが点在する夜の飲み屋街を「紅灯の海」という比喩で表わしている。

「足は千鳥と成り果てて」

という歌詞は、酔いつぶれて足元がおぼつかない様を言ったものだが、それが滑稽にならずちゃんと男の哀愁漂う背中が目に浮かぶようにロマンティックに描かれている。

「紅灯の海に漂い ひとつふたつの思い出を抱き
 紅灯の海は優しい 海と名の付くものは優しい」

やはり中島みゆきは言葉の魔術師だ。

ネオン街
中島みゆき『紅灯の海』は竹中直人に提供された曲1998年3月18日に発売された25作目のアルバムに収録されている 『紅灯の海』 をみていこう。 中島みゆき『紅灯の海』 ...

『4.2.3.』

『4.2.3.』(レコチョク)

1996年12月17日、ペルーの日本国大使公邸がテロリストに襲撃され、4か月以上も占拠され続けた事件があった。

特殊部隊が突入した日本時間1997年4月23日の光景とそれを見て中島みゆき自身が感じたことを、加工せずそのまま歌にしている。

歌詞解釈

中島みゆきは、事件を報道するメディア、ひいては日本という国に対して危機感を募らせている。

この事件では、日本人の犠牲者は出なかったものの現地の人(テロリスト以外)の命が失われた。

だが、日本のメディアはそれには触れず、日本人の無事を嬉々として報道したため、そこに中島みゆきは強い反発を覚えたのだ。

婉曲的な表現をなるだけ避けた随筆のスタイルは、中島みゆきの楽曲の中でも極めて珍しい。

12分という尺の長さもこれまた異例。

カメラ
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