1980年4月5日に発売された7作目のアルバムに収録された
『生きていてもいいですか』
をみていこう。
中島みゆき『うらみ・ます』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 後藤次利
編曲は後藤次利
作曲家としても有名な後藤次利は、作詞・中島みゆき、作曲・後藤次利のタッグで、工藤静香へ『FU-JI-TSU』『MUGO・ん…色っぽい』『黄砂に吹かれて』『慟哭』など提供している。
『うらみ・ます』は、これらの華やかな曲からは想像できないくらいのアレンジに仕上がっている。
収録アルバム
『生きていてもいいですか』
1980年4月5日に発売された7作目のオリジナルアルバム。
『うらみ・ます』を始め、「生きていてもいいですか」と問う『エレーン』、「あたしを埋める場所などない」と帰る場所を失った女の歌『異国』など、暗い曲を多く含んだアルバム。
この手の中島みゆきのイメージを世間に定着させた1枚といっていい。
世間を震撼させた歌詞
恨み節炸裂の歌になっている。
冒頭からアカペラで、
「うらみま~す~」
と始まり。
「死ぬまで」恨み続けるというくだりだったり、ドアに爪で「やさしくされて唯うれしかった」と書いて去って行く女像が、日本中の男たちの背筋を凍らせた。
『夜会』のきっかけとなった曲?
「月刊カドカワ」1991年11月号の中で中島みゆきは、
「当時、横溝正史シリーズ(『犬神家の一族』とかだと思う)が流行っていて、そっち方面に捉えた人が多かった」
と語っている。
全身全霊で恨み続ける恐ろしい女。
世間は大方そんな印象を抱いたはず。
だが、「月刊カドカワ」1992年11月号の中で中島みゆきは、
「私の腹の底で思ってたものと受け取られたものが、まったく逆の意味だったのね」
と語っている(どこかの記事で中島みゆきは、『うらみ・ます』は自分を嘲笑う歌だと言っていた)。
これに限らずだが、1曲にいろんな反応や取られ方をするもんだなぁと実感した中島は、アレンジや歌い方、設定などを変えて、伝える方法を模索しようと考えた。
それが後の中島みゆきのライフワークとも言える『夜会』に繋がっていくのだった。
レコーディングの様子
『中島みゆき ミラクル・アイランド』 (新潮文庫)での詩人・谷川俊太郎との対談では、レコーディングの様子を少しだけ明かしている。
生演奏
一般的には、別録りした音を重ねるようにして、レコーディングは行われるものだが、今回はミュージシャンと大体の流れを打ち合わせしておいて、本番は生演奏で録音されたという。
『うらみ・ます』が収録されたアルバム『生きていてもいいですか』は実況中継で作ってみようという裏のコンセプトがあったという。
今回編曲を担当してベース担当の後藤は、アレンジの譜面を書かないままスタジオに現れ、その場で思いついたままを即興的にベースで弾いている。
レコーディングは1発録りで済んだという。
歌いながら本当に泣いていたのか?
谷川俊太郎は、
「あれ、本当に泣いてたの?」
と歌の中の涙声について質問している。
が、これに対して中島みゆきは、
「おしえてあげないの」
と答えている。
谷川は対談の中で執念深くその質問を繰り返したが、中島みゆきは、
「おしえてあげないの」
を繰り返すだけだった。
真相はともかく、この歌唱は一部の人からは不評だったと中島みゆきは語っている。
「ボロクソに言われるんですよ。
聞きづらいから、もうちょっとちゃんと声の出てるていくのをね、OKにして、レコードとしては出すべきじゃなかったのかって」
だが、その後、『うらみ・ます』は中島みゆきの代名詞のような曲になったし、思い出していただきたいのが、発表当時ボロクソに言われたもう1つの曲がある。
そう、『ファイト!』。
名作は物議を醸すものだということをこの2曲は教えてくれる。
鳥居みゆきも大絶賛
中島みゆきの大ファンだというお笑い芸人の鳥居みゆき。
これまでに中島みゆきのモノマネで歌番組に出たり、中島みゆきの考察をテレビで披露したりと、物議を醸したが、2016年4月19日、文化放送のラジオ番組「吉田照美 飛べ!サルバドール」に出演した際に、自身のお気に入り中島みゆき曲ベスト7を発表している。
そのベスト1位に輝いた曲が、『うらみ・ます』だった。
「鳥居みゆきっぽい選曲ですよねぇ」という司会の吉田照美に対し、「人を恨んで生きてますからね」と堂々と鳥居は答えている。
鳥居みゆきは、『うらみ・ます』が収録されているアルバム『生きていてもいいですか』が大好きだと番組の中で語る。
一発録りしたというレコーディングの裏話を聞いた鳥居は感激し、「演技も1回目の方がいいっていうじゃないですか」と自身の演技経験?と重ねた発言をしている。

「うらみ・ます」の中点に魅了された有名人
タイトルの「うらみ・ます」の中点にいったいどんな意味があるのか?
これについて中島みゆきは明らかにしていないが、様々な解釈がされている。
さきほどの鳥居みゆきもその1人。
鳥居みゆき
2020年3月号の「ダ・ヴィンチ」に寄稿した記事で、鳥居みゆきは、この中点に強い思いを感じるとし、自身の単独ライブ『狂宴封鎖的世界』シリーズの中の1つに『シャングリ・ラ』と中点を使ったことを明かしている。
意外と仕事面でも鳥居は、中島みゆきの影響を受けていて、中島みゆきの楽曲にもある「幸福論」を舞台のタイトルにつけているし、鳥居「みゆき」という名前も、本来漢字表記だった本名を中島みゆきにあやかってひらがな表記にしている。
谷川俊太郎
詩人・谷川俊太郎も中点に意味を見出している1人。
朝日文庫から出版されている中島みゆき全歌集の解説で、谷川俊太郎は、『うらみ・ます』に触れ、
「一息に言うのではなく、いったん息をのみこんでいて、その微妙なためらいのようなものが、うらんでいる自分をみつめる、もうじとりの自分の存在を感じさせる」
と語っている。
谷川俊太郎と中島みゆきの関係をまとめた記事はコチラ↓↓↓

ドラマの劇中歌
『うらみ・ます』は、倉本聰脚本、岩下志麻・緒形拳主演のドラマ「さよならお竜さん」の劇中歌で用いられている。
このドラマには、『うらみ・ます』以外に、中島みゆきの曲が多く劇中歌として使われた。
『うらみ・ます』と比較されがちな曲
『うらみ・ます』ととかくセットで語られがちな曲がある。
山崎ハコの『呪い』だ。
「コンコン コンコン 釘をさす
わらの人形 釘をさす」
こちらもかなり衝撃的な歌詞だが、『ちびまる子ちゃん』のエンディング曲で1度だけ流された過去を持つ。
この事実も輪をかけて衝撃的。
ちなみに、山崎ハコは中島みゆきのライバルと呼ばれていた過去がある。
『うらみ・ます』のみんなの感想
かつて現国の先生に教えてもろたのは、中島みゆきの曲に「うらみ、ます」っていうタイトルがあるってこと。
普通に「うらみます」じゃない、「うらみ、ます」っていう「、」の有効利用方法みたいなの— Sirナオ🦉占いやってるよ (@gufo_nao) September 22, 2020
#中島みゆき がトレンドに入っているけど何かあった訳ではないようで。
中島みゆきといえば、毎朝6時に『うらみます』を爆音で流していた熊本のユースホステルを思い出すな~(うっかりはまって連泊したので毎朝聴いてた)— よもぎ (@yomoginohara) July 21, 2020
『うらみます』を初めて聴いた時、凄く衝撃的だった!
歌にしていいんだ!でも、誰にも言えない!でも、なんか凄いな!って!
あまり、お姿を拝見した事がないお方ですが、素敵すぎる人だなーって!そう思います😊
#中島みゆき— mk.3 (@maki3332) July 21, 2020
中学生の時、登校前に聴いてた「うらみます」#中島みゆき
— ごえさん〜m(_ _)mれにちゃんは鳴り止まないっ〜 (@Vc0PVtctruuegBf) July 21, 2020
失恋ソング特集の中島みゆき編で #生きていてもいいですか から一曲も出てこないのは、中島みゆき失恋ソングとして王道過ぎるアルバムだからなのかな?「うらみます」から「生きていてもいいですか」まで聞き終えた時、頭ぶん殴られた位の衝撃だったんだけどなー。頑張って買った。当時中学生だった。
— いとうちひろ⭐️⭐️🏆 (@chipan_myanjiji) May 24, 2020
うらみますはヘビーかな?中島みゆきさんの歌詞は読み物ですよね#関ジャム
— ぱんちゃん。 (@asawapan4) May 24, 2020
小学生の時の仲良しのお友達のお姉さんが中島みゆきが好きで「うらみます」聞かされて、怖い曲だぁ…(;▽;)って泣きそうになった記憶
— ふぅましゃ ✯*・☪.。 (@fm_wind307) January 31, 2020
高校時代、私の誕生日にMDを編集して渡してくれた理系クラスに行った腰まで伸びるロングヘアの眼鏡の彼女は今は元気にしているだろうか……一曲目は中島みゆきの「うらみます」で、その他の曲も全部中島みゆきで、要するに彼女厳選の中島みゆき歌謡集だったんだ……忘れられないなこれは……
— 🌘大巻M🌑 (@oomaki_m) August 9, 2019
結婚する予定だった10年付き合った男に振られそれを乗り越えもう40歳になった私は結婚式は諦めたからそれに代わる何かの式を挙げて色んな人を呼び彼との写真をスライドショーで見せて「別れて良かったよー!正解!」と祝辞を叫んでもらい中島みゆきの「うらみます」歌うから、この式になんて名前をつk
— M.mossy (@bbadie_forever) May 21, 2019
明石家サンタって外れ引いたらうらみます流れるのwwwww
— 浮遊 (@Floating_Pool) December 28, 2017
『うらみ・ます』はこんな時に聴こう
別れた憂さ晴らしに1人カラオケで『うらみ・ます』を泣きながら歌おう。
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