1998年2月4日に発売された35枚目のシングル
『命の別名』
をみていこう。
この曲が主題歌となったドラマの話から、『地上の星』との繋がりまでまとめてみたぞ。
中島みゆき『命の別名』
作詞・作曲 中島みゆき
編曲 瀬尾一三
ドラマのタイアップ主題歌
『命の別名』は、1998年のTBS系ドラマ『聖者の行進』の主題歌になった曲。
脚本家・野島伸司のオファにより中島みゆきが曲を書いた。
実は『空と君のあいだに』や『旅人のうた』はが主題歌になった『家なき子』シリーズは企画・原案を野島伸司が担当していて、わりと中島みゆきとゆかりのある人物なのだ。
野島伸司は、『101回目のプロポーズ』『ひとつ屋根の下』など数々のヒットドラマを生み出してきた売れっ子脚本家。
『聖者の行進』はどんなドラマ?
過激な暴力シーンが物議を醸した『聖者の行進』。
その内容は、ザっとこんな感じ。
知的障害を持つ青年・町田永遠(いしだ壱成)が町工場に住み込みで勤め始めるところから物語は始まる。
永遠は、そこの工場長からひどい虐待を受け、同じ知的障碍者の従業員らといっしょにその苦痛に耐える。
だが、工場長の暴力は助長するばかりで、ついに伝手を頼って裁判を起こすことになる。
内容には批判的な声も少なくなかったが、ドラマの平均視聴率は20.9%、最高視聴率22.1%と、大ヒットした。
もう一つの主題歌
実はこのドラマには、もう一つの主題歌がある。
それが、中島みゆきの『糸』だ。
異例のW主題歌という形態をとっている。
『命の別名』は1998年2月4日に、この『糸』と両A面シングルで発売されている。
毎回、ドラマのエンディングはこの2つのいずれかが流されていた。
対照的な曲調のため、比較的、話の内容が穏やかな回には『糸』、展開がシリアスになっていくと『命の別名』という使いわけをしている。
エンディングが『命の別名』のときは、劇中のホロっとするシーンで『糸』が劇中歌として流されたりと、両方聴ける回もあった。
『糸』第1~4話、第10~最終話
『命の別名』第5~9話
歌詞の内容
『命の別名』の歌詞は、まさにドラマの内容を踏まえたものになっている。
「僕」という弱者の視点から歌われている。
「石」や「樹」や「水」といった「ささやかな」存在に「僕と生きてくれ」と望む一方で、「くり返す哀しみを照らす灯をかざせ」と、世の中に強く訴える姿が印象的。
『地上の星』のきっかけとなった曲
2000年、NHKで放送がスタートしたドキュメンタリー番組『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』。
プロデューサーの今井彰は、企画の段階で中島みゆきにテーマ曲を依頼するつもりでいた。
彼の頭の中には『命の別名』の歌詞があり、「無名の人に光を照らす」という番組のコンセプトに合った曲を作れるのは、中島みゆき以外には考えられないと思ったそう。
ヤマハ側から断られるものの、諦めずオファした結果、書いてもらった曲が『地上の星』なのだ。
『命の別名』は『地上の星』のきっかけとなった曲ともいえる。

収録アルバム
『Singles 2000』
2002年4月17日に発売された第3弾シングルコレクションアルバム。
1994年の『空と君のあいだに』から2000年の『地上の星』までの7枚のシングル曲(カップリングも含む)を収めている。
『空と君のあいだに』『ファイト!』『地上の星』『ヘッドライト・テールライト』など両A面のヒット曲が多く、濃いアルバムとなっている。

『わたしの子供になりなさい』
1998年3月18日に発売されたアルバム『わたしの子どもになりなさい』には、違うバージョンの『命の別名』が収録されている。
こちらのアルバムバージョンは、オリジナルよりもはるかにアグレッシブな歌唱法。
主題歌という枠から出て、ドラマとはまた違う世界を作っている。
こちらのアルバムには映画『大いなる完(ぼんの)』の主題歌となった『私たちは春の中で』や、フェイ・ウォンに提供した『清流』、石嶺聡子に提供した『You don’t know』、竹中直人に提供した『紅灯の海』などのセルフカバー曲も入っている。

『大銀幕』
ベストアルバム『大吟醸』から2年後に出たベスト盤。
こちらには、アルバムバージョンの『命の別名』が収録されている。
『糸』『たかが愛』『愛情物語』など、このベストアルバムに収められている全曲が、ドラマや映画のタイアップ曲となっている。

『中島みゆきConcert「一会」2015〜2016~LIVE SELECTION~』
『中島みゆきConcert「一会」2015〜2016~LIVE SELECTION~』(レコチョク)
こちらはライブバージョンの『命の別名』。
2015年から翌年2016年にかけて行われたコンサートの曲を12曲ピックアップして収めた音源アルバム。
『やまねこ』『旅人のうた』『麦の唄』『命の別名』など名曲多数。
本人歌唱の映像
残念ながら『命の別名』にはPVは存在しない。
だが、『命の別名』を歌う映像はある。
『中島みゆきConcert「一会」2015〜2016』
2015~2016年のコンサートで『命の別名』を歌っている。
こちらのDVD&Blu-rayは音源アルバムの方にも収録されているが、アルバムの方にはない『もう桟橋に灯りは点らない』や『夜行』などを聴くことができる。
『歌旅~中島みゆきコンサートツアー2007~』
2007年に行われたコンサートの模様を収めたDVD&Blu-ray。
拳を頭上にかざしながら情熱的に歌い上げるのが印象的な『命の別名』である。
カバーしたアーティスト
工藤静香
2008年に発売された『MY PRECIOUS~Shizuka Sings Songs of Miyuki~』に収められている。
力強さの中にもちゃんと孤独を感じられる歌唱となっている工藤静香の『命の別名』。
こちらのアルバムは全曲中島みゆきをカバーしている。
『銀の龍の背に乗って』『空と君のあいだに』などの代表曲から、工藤静香に提供された『激情』『雪・月・花』なども含む。
中島美嘉
2017年に発売されたカバーアルバム『ROOTS~Piano & Voice~』に収録されている。
中島美嘉にとってルーツとなるアーティストの名曲をカバーしている。
中島美嘉といえば、2013年に『愛詞』という曲を中島みゆきから提供されている。
歌う喜びを教えてくれたアーティストへの「ご縁返し」というコンセプトのこのアルバム。
ご縁返しにセレクトした曲が、なぜ『命の別名』なのか謎だが、それはさておき、ピアニスト河野伸の伴奏で歌われる中島美嘉の『命の別名』は、まるで闇の中から立ち上ってくるような儚さを感じさせる。
声のかすれや、細い糸1本で伸びていくような歌声が、歌の中の「僕」のか弱さをよく表現していると思う。
2016年に行われた『中島みゆきRESPECT LIVE 歌縁(うたえにし)』でも、中島美嘉はこの曲を披露している。
島津亜矢
中島みゆきカバーの常連歌手島津亜矢。
紅白歌合戦では2018年に『時代』を2019年に『糸』を披露している。
また、カバーアルバム『SINGER』シリーズでは、毎回中島みゆきの曲をセレクトしている。
そのカバーアルバム第4弾『SINGER4』に収録された『命の別名』。
サビのとこでがなり声で歌うスタイルは、中島みゆきのアルバムバージョンを彷彿とさせる。
『命の別名』のみんなの感想
中島みゆき「命の別名」っていう名曲を知って震えてる😭
— ゆもも♨️🍑TOEIC模擬惨敗 (@yumomotchi_) June 24, 2020
中島みゆきの「命の別名」を初めて聞いたけどこの歌詞すげえな……。やたら刺さってくる。
— sasameyuki (@sasameyuki) June 11, 2020
こどもがiPadで中島みゆきの「命の別名」(私のiTunesにあった)かけながらマリオランやってて、旦那に「えらい重いものを背負って戦ってるなマリオ…」って言われてる
— ぱた (@pata_pomme) May 27, 2020
ネットに誹謗中傷書くやつは
中島みゆきさんの「命の別名」
を聴け
あやまちに気付け— たいが (@Taiga02220406) May 25, 2020
命の別名/#中島みゆき
最高12位/売上16万
ドラマ「聖者の行進」主題歌
野島伸司ワールド全開だったドラマの主題歌でした。
家なき子と同じぐらいに死人が多いドラマで、かなり賛否両論な作品でした。— ゆう(音楽全般・スポーツ) (@ayuayu1987) April 11, 2020
『命の別名』はこういう人に歌ってあげよう
命を軽くみている人の前に立ちはだかって『命の別名』を声高らかに歌ってあげよう。
『命の別名』はサブスク(定額制)でも聴ける
2020年1月8日よりついにサブスクリプション(定額制)で中島みゆきの曲を聴けるようになった。
『Amazon Music Unlimited』に登録すれば、月額980円(プライム会員は月額780円)で中島みゆきのシングル曲(カップリング含む)が聴き放題。
(※1975年版『時代』、映画主題歌バージョン『瞬きもせず』は含まない)
もちろん中島みゆき以外のアーティスト曲も聴くことができる。
その数、6500万曲以上。
30日間の無料お試し期間があるので、ぜひ一度試していただきたい。
『Amazon Music Unlimited』の公式サイトはコチラ。
