テレビ

「中島みゆきのオールナイトニッポン」最終回の舞台裏

レッドカーペット

2017年11月12日BSフジで放送された「熱響の時~オールナイトニッポン50年の系譜~」の中で「中島みゆきのオールナイトニッポン」の最終回の舞台裏が語られていたので、抜粋して紹介する。

「中島みゆきのオールナイトニッポン」の誕生

1970年代の終り、自民党四十日抗争など政治の世界は混迷を極めていた。

すっかり政治に興味を失った若者たち。

そんな中でもラジオの中では個性豊かなパーソナリティが若者たちに語りかけていた。

1979年4月2日にスタートしたある歌手のトークに放送を聴いた誰もが度肝を抜かれることになった。

そのアーティストとは、

「オ~ルナイトニッポ~ン!」

ハイテンションでタイトルコールするこの声こそ中島みゆき。

当時、『わかれうた』のイメージが世間に浸透していたが、その軽快な語り口はそれを覆した。

わかれうた
中島みゆき『わかれうた』で必ず議論になる歌詞の部分|カバーしたアーティスト1977年9月10日に発売された5作目のシングル 『わかれうた』 をみていこう。 中島みゆきにとって初のヒット曲。 自身...

小説家・朱川湊人と「中島みゆきのオールナイトニッポン」

ここで1人の男を紹介。

番組のヘビーリスナーだった小説の朱川湊人

ノスタルジックホラーというジャンルの直木賞作家である。

朱川「ウチの兄がですね、色んなラジオから集めた音源の入ったテープを持ってまして、その中に、『アザミ嬢のララバイ』『あぶな坂』という曲が入ってたんです」

当時、『わかれうた』がヒットしていたこともあり、朱川の中で中島みゆきは暗い情念の塊のようなアーティストだという認識を持った。

そんな朱川が中学の頃に初めて「中島みゆきのオールナイトニッポン」を耳にしたのである。

朱川「『え、コレほんとに中島みゆきさんなの?』って思いながら聴いてると、ときどき、『あ~みゆきさんだ』と思うこともあり、まあ、すぐ慣れましたけど、最初はビックリというか泡食ったレベルで(笑)」

電話
中島みゆきのデビュー曲『アザミ嬢のララバイ』の裏話|研ナオコとの出会いの曲1975年9月25日に発売された1作目のシングル 『アザミ嬢のララバイ』 についてみていこう。 もう1つのデビュー曲の存在や研...

おしゃべりが得意ではなかった中島みゆき

次に登場したのが、「中島みゆきのオールナイトニッポン」の放送作家を務めた寺崎要

中島みゆきの第一印象を語ってくれた。

寺崎「いろんなディレクターから噂を聞いて、『てごわいぞ』とか『すごい人やで』とか(笑)
   で、来なはった時、たしかに手強くてどうしようかなぁと思って。
   で、東京で打合せしたんですけど、おしゃべりがね、そんなに得意ではなかったんですよ、他の人と比べて。
   そんなに得意ではないというのも本人も知っていたので」

そこで思いついた策が、中島みゆきの個性を打ち出すあのしゃべりだった。

おしゃべりと歌、どっちが本当の中島みゆき?

中島みゆきの個性を活かした番組は、すぐに若者中心に火が付いた。

だが、歌とおしゃべりのギャップに戸惑う人も一部にはあり、番組にはこういう手紙も寄せられた。

「中島みゆきさん。
 どうしてそんなに、あなたらしくもない、バカ騒ぎ番組をやっているのですか。
 本当のあなたの姿は、その番組からは少しも感ぜられません。
 あの、心に沁みる歌を歌うあなたが、なんらかの圧力に流されて作り笑いをしているとし
 か思えない。
 一日も早く、本来のあなたに戻られることを願ってやみません」

この手紙について、中島みゆきはちゃんと回答している。

「もしかしたら、いつかオールナイトニッポンで中島みゆきを知った誰かからは、『深刻
ぶって暗い歌を歌うあなたなんかつくりものだ』と書いた葉書が舞い込む日も、あるのか もしれないから。
 あたなというところの『嘘』が、誰かにとっての『本当』かもしれなく、誰かのいうところの『嘘』が、私にとっての『本当』かもしれないから」

中島みゆきは、真正面からリスナーと向かった。

では、パーソナリティの時と歌手の時、どちらが中島みゆきにとっての素なのだろうか?

朱川はこう語る。

朱川「どっちも素で、どっちもあっての中島さんだと思いますね。
   どっち片方じゃ、中島さんじゃないのかなあって」

伝説のあくしゅ券とは?

多くのリスナーに支持され、すぐにヒットコーナーが生まれていった。

「家族の肖像」もその1つ。

朱川がこのコーナーについての思い出を語る。

自分の家族の面白いところを披露するこのコーナーに朱川はリスナーとして投稿したことがあった。

朱川は自分の父親について書いた。

「ありがとう」と言えば「アリが10ならミミズはハタチ」というギャグを返す陽気な人間だったのだが、残念ながら採用してもらえなかったようだ。

朱川が中島みゆきに手紙を読んでもらいたかった理由の1つに「あくしゅ券」という存在があった。

朱川「ハガキが読まれると、あくしゅ券というのがもらえるってのがあって」

そのあくしゅ券とは、読まれたハガキの中から、中島みゆきが特におもしろいと思った投稿者に送られるプレミアアイテム。

カードには「みゆきと握手する方法」という手順が記載されている。

「1.みゆきの握手カードを持っているというサインを送る。
 みゆきと出会ったら、モンチッチのように右手の親指をしゃぶってサインを送る。
 みゆきは眼が悪いから、できるだけオーバーにすること。
 2.みゆきに握手カードを見せる。
 みゆきがサインに気がついたら、カードを見せよう。
 そのとき「わかれうた」を口笛でふくこと。
 (みゆきに無視されたら素直にわかれること。口笛のふけない人は、それだけで握手する 資格がないのだ)
 3.1.と2.をクリアーしたキミは、握手する権利ができた。
 さっそく近くの水道で手を洗って3秒間だけ握手しよう。
 ■大当たり
 もし、みゆき通りで1.2.をクリアーしたキミは大幸運。
 右手で5秒、左手で5秒の握手ができるのだ。」

これを見せると握手してくれるというリスナー思いの中島みゆきらしい企画。

最終回

1970年代から1980年代までつづいたこの番組は、放送期間8年、欠席はわずか2回。

人気絶頂の中、番組にピリオドを打った理由は、音楽への妥協を許さない中島みゆきの姿勢だった。

1987年3月31日、「中島みゆきのオールナイトニッポン」最終回の日、中島みゆきはこのように語った。

「やっぱりあたし要領よくないんだなぁと思うんだけど、いくつものことを一緒にテキパキやりこなせないんだわ。
 で、それでジーっと考えちゃって、この1日のたった24時間というこの限られた時間をね、どうやったら配分できるだろうかなあって考えたんだよね。
 そしたらやっぱり時間をね惜しむことなく音楽に使いたいなあって、そう願ったんだよね」

「じゃあ ほんとにいっぱいありがとう。
 中島みゆきは今夜でディスクジョッキーを中退します。
 じゃ、今から数えて10秒後にあたしは音楽に走ります。
 10,9,8,7,6,5,4,3,2,1――こんばんは、中島みゆきです」

さようならではなく、歌手の中島みゆきがこんばんはと挨拶して番組は終了。

朱川は「中島みゆきのオールナイトニッポン」についてこう語る。

朱川「今みたいにブログから発信できる時代ではなかったので、中島みゆきさんはこんなことを考えて生きているんだというのを聴けるのがラジオなんですよ」

最終回を終えて中島みゆきが外に出ると、深夜3時のニッポン放送の前には、全国から集まってきたリスナーが手に手にラジオを持ち、待ち構えていた。

その数は1000人を超えた。

東京有楽町の深夜のオフィス街とは思えぬ異常な盛り上がりの中、別れを惜しむリスナーの群衆に向けて中島みゆきは感謝のコトバを述べて、ニッポン放送を後にしたという。

最終回の舞台裏

スタジオでは漫画家の久保ミツロウ能町みね子、そして上柳昌彦が、中島みゆきについて盛り上がっている。

ミツロウ「すごい今感動したっていうか、あんな終わり方されたら、ニッポン放送に集まった1000人がどんな気持ちにされたかと思うと、もう、押しつぶされそうですよ」

みね子「あんな終わり方とは知りませんでした。
    ぞわっとしますよね」

ここで進行役の上柳昌彦が最終日当日の舞台裏について語る。

上柳「僕はちょうどその時は、0時から1時の番組をやっていたので、駆り出されるんですよ、人員整備に(笑)
玄関に出ますと、ほとんど道路使用許可証違反みたいなことになってて、ぐわ~と大勢いて(笑)
これはちゃんとやろうって風になって、赤いじゅうたんをニッポン放送の玄関から車のとこまで敷いて、マイクを立てて、挨拶をしていただいて、で車に乗って。
で、リスナーが偉かったのが、みんな手を振って送って、あまり追っかけるって混乱がなかったんですよ。
これ素敵でしょ?」

サブスク(定額制)で中島みゆきの名曲が聴き放題

『Amazon Music Unlimited』なら月額980円Amazonプライム会員は月額780円)で、中島みゆきのシングル曲や他のアーティストの曲が聴き放題。

その数なんと6,500万曲以上

色んな音楽を聴く人で中島みゆきも聴きたいという人には『Amazon Music Unlimited』一択。

『Amazon Music Unlimited』に登録すると最初の30日間は無料体験できる。

『Amazon Music Unlimited』の公式サイトはコチラ。

聴く
サブスク『Amazon Music Unlimited』で聴ける中島みゆきの曲は?2020年1月8日よりついにサブスク(定額制)で中島みゆきの曲を聴けるようになった。 音楽配信サービス『Amazon Music ...

 

ABOUT ME
yumeojiko
中島みゆきが好きで、人よりちょっと詳しいだけが取り柄の人間やってます。